
要約
知識グラフ質問応答(KGQA)は、自然言語による質問を用いて知識グラフ(KG)からエンティティを検索するタスクである。この課題の本質は、質問に関連するKGの事実を、エンティティを経由してたどり、最終的な答えに至る論理的推論を学習することにある。推論を促進するため、質問は「指示(instructions)」に変換され、これによりKGの探索経路をガイドする高密度な質問表現が得られる。しかし、導出された指示が実際のKG情報と完全に一致しない場合、誤った文脈下での推論を引き起こす可能性がある。本研究で提案する手法ReaRevは、指示のデコードおよび実行の両面において、KGQAの推論プロセスを新たなアプローチで改善する。指示のデコードを向上させるため、KGに依存する情報を用いて、初期の指示を反復的に更新するアダプティブな推論を実施する。また、指示の実行を改善するために、グラフニューラルネットワーク(GNN)を用いて幅優先探索(BFS)を模倣する。このBFS戦略は、指示を集合として扱うことで、実行順序を実行時に動的に決定可能にする。3つのKGQAベンチマークにおける実験結果から、従来の最先端手法と比較してReaRevの有効性が示された。特に、知識グラフが不完全な状況や複雑な質問に対処する場合に顕著な性能向上が見られた。本研究のコードは、https://github.com/cmavro/ReaRev_KGQA にて公開されている。