
少数ショット知識グラフ(KG)補完タスクは、KG上で誘導的推論を行うことを目的としている。具体的には、新しい関係 $\bowtie$ に関する少数のサポートトリプル(例:(chop, $\bowtie$, kitchen), (read, $\bowtie$, library))が与えられた場合、同じ未観測関係 $\bowtie$ に関するクエリトリプル(例:(sleep, $\bowtie$, ?))を予測することを目指す。現在のアプローチは、メタラーニングフレームワークを採用しており、各々が独自の関係を定義する多数のトレーニング用少数ショットタスク上でモデルを事前に共同学習させ、その後、ターゲットの少数ショットタスクにおける学習/予測を効果的に行うことを目指している。しかし、現実のKGでは、多数のトレーニングタスクを人手で構築することは困難なアドホックなプロセスである。本研究では、人手で構築されたトレーニングタスクに対する事前学習を必要とせず、ターゲットの少数ショットタスクに対して直接予測を行う「Connection Subgraph Reasoner(CSR)」を提案する。CSRの鍵となるのは、消去的帰納(eliminative induction)の原則に着想を得て、サポートトリプルとクエリトリプルの間に共通する接続部分グラフ(connection subgraph)を明示的にモデル化することである。特定のKGに適応するため、自動的にサンプリングされた接続部分グラフの再構成を目的とした自己教師付き事前学習スキームを設計した。この事前学習済みモデルは、ターゲットの少数ショットタスクに対して、追加のトレーニングを施さずに直接適用可能である。NELL、FB15K-237、ConceptNetといった実際のKG上における広範な実験により、本フレームワークの有効性が実証された。特に、学習を一切行わないCSRのシンプルな実装でも、既存手法と競合する性能を達成できることを示した。さらに、事前学習を導入することで、エンティティが(事前)学習段階で未観測であるより困難な誘導的少数ショットタスクにおいて、最大52%の顕著な性能向上が達成された。