3D境界制約付き深層ニューラルネットワークを用いた腹部多臓器セグメンテーションの改善

臨床的に取得されたCTスキャンからの腹部領域の定量的評価には、腹部臓器の同時セグメンテーションが不可欠である。高性能な計算リソースの普及により、深層学習に基づく手法は、3次元腹部CTスキャンのセグメンテーションにおいて、最先端の性能を達成している。しかし、境界が曖昧な臓器の複雑な特徴は、深層学習手法がこれらの解剖学的構造を正確にセグメンテーションすることを困難にしている。特に、臓器境界におけるボクセルは、臓器間境界の強度が極めて変動しやすいことから、誤分類のリスクが高くなる。本研究では、既存の3次元エンコーダデコーダネットワークの腹部画像セグメンテーション性能を、境界予測を補助タスクとして活用することで向上させる可能性を検討する。腹部多臓器セグメンテーションの課題に対処するため、マルチタスク学習を用いて、3次元エンコーダデコーダネットワークを、CTスキャンにおける腹部臓器とその対応する境界を同時にセグメンテーションするように学習する。ネットワークは、完全な臓器セグメンテーション損失と境界予測損失という2つのタスク固有の損失を組み合わせた損失関数を用いて、エンド・トゥ・エンドで学習される。本研究では、統一されたマルチタスクフレームワーク内での2つのタスク間の重み共有の程度に応じて、2種類の異なるネットワーク構造を検討した。補助タスクとしての境界予測の有効性を評価するため、3つの最先端のエンコーダデコーダネットワーク(3D UNet、3D UNet++、3D Attention-UNet)を用いて実験を実施した。臓器境界情報の活用が腹部多臓器セグメンテーションに与える効果は、2つの公開されている腹部CTデータセットを用いて評価された。Pancreas-CTデータセットおよびBTCVデータセットにおいて、それぞれ最大3.5%および3.6%のMean Dice Scoreの相対的改善が確認された。