
要約
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は分類タスクにおいて優れた結果を示す一方で、リアルタイムでの新しい知識の習得には課題を抱えている。本研究では、過去のデータを一切保存せずに、新たな未見のオブジェクトカテゴリを継続的に学習できる、従来のリハーサル(再現)を不要とする新しいアプローチを提案する。本手法は「RECALL」と命名され、新しいカテゴリの学習前に、既存カテゴリのロジット(logits)を計算することで、過去のカテゴリをネットワークが「想起」する仕組みとなっている。これらのロジットは、新しい学習過程において既存カテゴリの重みが変化しないように制御するために用いられる。各新しい学習シーケンスに対して、新たな分類ヘッド(head)を追加することで、新たなカテゴリに対応する。記憶の消去を軽減するため、分類問題を回帰問題に置き換える正則化戦略を導入している。さらに、既知のカテゴリに対して、既知と未知のカテゴリ間の密度変化を捉えるために分散を含むマハラノビス距離(Mahalanobis loss)を提案する。最後に、モバイルロボットにおけるオブジェクト認識に特化した継続的学習用の新データセット「HOWS-CL-25」を公開した。このデータセットには、25種類の家庭用オブジェクトを対象とした合成画像150,795枚が含まれる。実験の結果、RECALLはCORe50およびiCIFAR-100において現在の最先端技術を上回り、特にHOWS-CL-25では最良の性能を達成した。