
要約
画像の霞消し(image dehazing)は低レベルビジョン分野における活発な研究テーマであり、深層学習の急速な発展に伴い、多数の画像霞消しネットワークが提案されてきた。しかし、これらのネットワークのパイプラインは概ね良好な性能を発揮するものの、画像霞消し性能を向上させるための本質的なメカニズムは依然として明確でない。このため、本研究では複雑なモジュールを導入するような新しい霞消しネットワークの提案に焦点を当てることではなく、一般的に用いられるU-Netに対して最小限の修正を加えることで、コンパクトな霞消しネットワークの構築を目指した。具体的には、U-Net内の畳み込みブロックをゲーティング機構を備えた残差ブロックに置き換え、メインパスとスキップ接続の特徴マップを選択的カーネル(selective kernel)を用いて融合した。その結果得られたU-Netの変種をgUNetと命名した。その結果、大幅に計算負荷を低減しつつ、複数の画像霞消しデータセットにおいて最先端の手法を上回る性能を達成した。最後に、広範なアブレーションスタディを通じて、本研究で採用した各設計要因が画像霞消しネットワークの性能向上に寄与していることを実証した。