
要約
最新の判別型教師なし表面異常検出技術は、異常付加訓練画像を合成するために外部データセットに依存している。このようなアプローチは、異常と正常領域との類似性が高いため、分布内に近い異常(near-in-distribution anomalies)のリアルな合成が困難であるため、そのような異常に対しては性能が低下しやすい。本研究では、量子化された特徴空間表現を基盤とし、二重デコーダを備えたアーキテクチャであるDSR(Dual-Decoder with Quantized Feature Space Representation)を提案する。この手法は画像レベルでの異常合成を必要とせず、異常の視覚的性質についていかなる仮定も行わない。代わりに、学習済みの量子化特徴空間からサンプリングすることで、特徴レベルで異常を生成可能であり、分布内に近い異常を制御的に生成することが可能となる。DSRはKSDD2およびMVTec異常検出データセットにおいて、最先端の性能を達成した。特に、実世界の難易度の高いKSDD2データセットにおける実験結果から、DSRは他の教師なし表面異常検出手法を顕著に上回り、異常検出において前人最高の手法より10%のAP(Average Precision)向上、異常局所化においては35%のAP向上を達成した。