TransResU-Net:リアルタイム大腸内視鏡ポリープセグメンテーションを目的としたTransformerを用いたResU-Net

大腸がん(CRC)は、世界中で最も一般的ながんの一つであり、がん死因の主要な要因の一つである。大腸がんのスクリーニングを適切なタイミングで実施することは、早期発見の鍵となる。大腸がんの診断に用いられる主な手法は内視鏡検査(コロノスコピーや大腸内視鏡)であるが、その際、ポリープ、腺腫、および高度な腺腫の見逃し率は依然として非常に高い状況にある。がんの前段階である前癌性ポリープを早期に発見することは、大腸がんの死亡率低下および医療経済的負担の軽減に寄与する。深層学習に基づくコンピュータ支援診断(CADx)システムは、医師が見落としがちなポリープを検出する手助けとなり、ポリープ検出率の向上が期待される。さらに、CADxシステムは長期的な大腸がん予防を実現する上でコストパフォーマンスに優れた手段となり得る。本研究では、自動ポリープセグメンテーションを目的とした深層学習アーキテクチャ「Transformer ResU-Net(TransResU-Net)」を提案した。本アーキテクチャは、ResNet-50をバックボーンとして用いたリサルブブロックを基盤とし、トランスフォーマーの自己注意機構(self-attention mechanism)および拡張畳み込み(dilated convolution)の利点を活用している。公開されている2つのポリープセグメンテーションベンチマークデータセットを用いた実験の結果、TransResU-Netは高いDiceスコアとリアルタイム処理速度を達成した。性能評価指標において優れた効果を示したことを踏まえ、TransResU-Netは大腸がんの早期診断・治療・予防に向けたリアルタイムポリープ検出システムの強力な基準(ベンチマーク)となり得ると結論づけた。本研究で提案するTransResU-Netのソースコードは、https://github.com/nikhilroxtomar/TransResUNet にて公開されている。