
交通流予測技術は、スマート交通システムにおいて重要な役割を果たしている。従来の多くの研究では、グラフニューラルネットワークと注目メカニズム(attention mechanism)を組み合わせ、Transformerアーキテクチャを用いて時空間依存性および動的関係を捉える手法が採用されてきた。しかし、これらの手法は時空間系列間の相関情報について十分に考慮されていない。本論文では、最大情報係数(Maximal Information Coefficient, MIC)に基づき、空間相関情報(Spatial Correlation Information, SCorr)および時間相関情報(Temporal Correlation Information, TCorr)の2つの精密な時空間表現を提案する。SCorrを活用して、相関情報を空間構造に効果的に統合するための動的グラフニューラルネットワーク部と、動的時間依存性を正確にモデル化するためのマルチヘッドアテンション部を備えた、相関情報に基づく時空間ネットワーク(CorrSTN)を構築する。また、TCorrを用いて、異なる周期性データ間の相関パターンを分析し、最も関連性の高いデータを特定した上で、効率的なデータ選択スキームを設計することで、モデル性能のさらなる向上を図る。高速道路交通流データセット(PEMS07およびPEMS08)および地下鉄乗降客数データセット(HZME入場および退場)を用いた実験結果から、CorrSTNが最先端手法を上回る予測性能を示した。特にHZME(退場)データセットにおいて、MAE、RMSE、MAPEの各指標において、ASTGNNモデルと比較してそれぞれ12.7%、14.4%、27.4%の顕著な改善が確認された。