
教師なしドメイン適応(Unsupervised Domain Adaptive, UDA)に基づく人物再識別(Person Re-Identification, ReID)は、ターゲットドメインにおいて手動ラベルを用いずに効果的に性能を発揮する点から、近年ますます注目を集めている。多くの従来の微調整(fine-tuning)ベースのUDA人物ReID手法は、擬似ラベル生成のためにグローバル特徴の符号化に注力しているが、細粒度情報を提供できるローカル特徴の活用を軽視している。この問題に対処するために、本研究ではグローバル特徴とローカル特徴を適応的に融合するための「学習可能な特徴融合(Learning Feature Fusion, LF2)」フレームワークを提案する。具体的には、まずソースドメイン内でモデルを事前学習し、その後、教師-生徒学習戦略に基づいてラベルなしのターゲットドメイン上でモデルを微調整する。平均重み付き教師ネットワークはグローバル特徴の符号化を担当する一方、各反復ごとに更新される生徒ネットワークは細粒度なローカル特徴の学習を担う。これらの多視点特徴を融合することで、多段階クラスタリングを用いて多様な擬似ラベルを生成する。特に、グローバル特徴内に細粒度なローカル情報を強調するための学習可能な融合モジュール(Fusion Module, FM)を導入し、複数の擬似ラベルによる学習の曖昧さを回避する。実験の結果、提案するLF2フレームワークは、Market1501からDukeMTMC-ReIDへの転移において73.5%のmAPおよび83.7%のRank-1を達成し、最先端技術を上回ることを示した。また、DukeMTMC-ReIDからMarket1501への転移では、83.2%のmAPおよび92.8%のRank-1を達成し、優れた汎化性能を示した。