タスク固有分類器をディスクリミネータとして再利用する:ディスクリミネータ不要な敵対的ドメイン適応

敵対学習は、非教師ありドメイン適応(UDA)において顕著な性能を達成している。従来の敵対的UDA手法は、特徴抽出器と対になる追加の識別器を用いてミニマックスゲームを実行するものが一般的である。しかし、これらの多くは予測された識別的情報を効果的に活用できず、結果として生成器におけるモード崩壊(mode collapse)を引き起こす。本研究では、この問題に異なる視点からアプローチし、識別器を必要としない敵対学習ネットワーク(Discriminator-Free Adversarial Learning Network, DALN)という単純ながら効果的な敵対的枠組みを提案する。このDALNでは、カテゴリ分類器を再利用して識別器として機能させ、統一された目的関数を通じて明示的なドメイン整合性とカテゴリ区別性を実現する。これにより、予測された識別的情報を十分に活用し、特徴の適切な整合を可能にする。本手法の中心となるのは、識別に明確な指針を提供する核ノルム Wasserstein 差異(Nuclear-norm Wasserstein Discrepancy, NWD)の導入である。このNWDは、分類器と組み合わせることで、追加の重みクリッピングや勾配ペナルティ戦略を必要とせずにK-Lipschitz制約を満たす識別器として機能する。装飾的な要素を一切用いずに、DALNは多数の公開データセットにおいて既存の最先端(SOTA)手法と比較しても優れた性能を示す。さらに、汎用的な正則化子として即座に統合可能なプラグアンドプレイ技術として、NWDは既存のUDAアルゴリズムに容易に適用可能である。コードは https://github.com/xiaoachen98/DALN にて公開されている。