
要約
関係性グラフ畳み込みネットワーク(Relational Graph Convolutional Network:R-GCN)の提唱は、知識グラフ(Knowledge Graphs:KGs)に対するエンドツーエンドの階層的表現学習を一般化した、広く引用される手法として、セマンティックウェブ分野における重要な節目となった。R-GCNは、ノードの近傍ノードに対して、関係固有のパラメータ化された変換を繰り返し集約することで、関心のあるノードの表現を生成する。しかしながら、本論文では、R-GCNの主な貢献は学習された重みよりも、「メッセージ伝達(message passing)」という枠組みにあると主張する。これを裏付けるために、すべてのパラメータを学習せずに、近傍ノードからのランダムに変換されたランダムな表現を単に集約することでノード埋め込みを構築する「ランダム関係性グラフ畳み込みネットワーク(Random Relational Graph Convolutional Network:RR-GCN)」を提案する。すなわち、学習可能なパラメータを一切持たない。実証的に、RR-GCNはノード分類およびリンク予測の両設定において、完全に学習されたR-GCNと同等の性能を達成できることを示した。