
最近、クラスタ対比学習(cluster contrastive learning)は、個々の特徴量とクラスタメモリ間の対比損失を計算することで、オブジェクトReID(再識別)において有効であることが示されている。しかし、従来の手法では、個々の特徴量を用いてクラスタメモリをモーメンタム更新する方式を採用しているが、これは特に外れ値(outlier)サンプルにおいてトレーニング過程で不安定な振る舞いを示すことがある。個々の特徴量に基づく更新メカニズムとは異なり、各クラスタの平均特徴量を用いてクラスタメモリを更新する「重心ベースの更新メカニズム」は、個々のサンプルの影響を軽減できる。そこで本研究では、これらの2種類の更新メカニズムを統一的なクラスタ対比フレームワークとして組み合わせ、Dual Cluster Contrastive framework(DCC)を提案する。DCCは、個々のクラスタメモリバンクと重心クラスタメモリバンクの2種類のメモリバンクを維持する。特に、個々のクラスタメモリは、一度に1つの個体のみを考慮し、1ステップごとに更新を行う。一方、重心クラスタメモリは、各クラスタの平均特徴量を用いて対応するクラスタメモリを更新する。最適化の過程では、各メモリに対するヴァリーナ(vallina)対比損失に加えて、2つのメモリ間で相互に情報を交換するための「クロスビュー一貫性制約(cross-view consistency constraint)」を導入し、オブジェクトReIDに適した判別力の高い特徴記述を生成する。なお、DCCは、真のラベル(ground-truth labels)または生成された擬似ラベル(pseudo-labels)を用いることで、教師ありまたは教師なしのオブジェクトReIDに容易に適用可能である。本研究では、Market-1501、MSMT17、VeRi-776の3つのベンチマークにおいて、教師ありオブジェクトReIDおよび教師なしオブジェクトReIDの両設定下で広範な実験を行い、提案手法DCCの優れた性能を実証した。