イモータルトラッカー:トラッケットは決して死なない

従来のオンライン3次元マルチオブジェクト追跡(3DMOT)手法は、数フレームにわたり新たな検出と関連付けが得られない場合にトラックレットを終了する。しかし、物体が一時的に他の物体に遮蔽されたり、視野(FOV)から一時的に外れたりするだけで、トラックレットを過剰に早期に終了させてしまうと、識別子の切り替え(identity switch)が発生する。本研究では、現代の3DMOTシステムにおける識別子切り替えの主な原因が、トラックレットの早期終了であることを明らかにした。これを解決するため、本研究では「Immortal Tracker」と呼ばれるシンプルな追跡システムを提案する。この手法は、物体が一時的に視認不能になった場合でも、軌道予測を用いてトラックレットを維持する仕組みを採用している。軌道予測には単純なカルマンフィルタを用い、対象が可視でない間も予測に基づいてトラックレットを保持する。このアプローチにより、トラックレットの早期終了に起因する車両の識別子切り替えを96%以上回避できる。学習パラメータを一切用いないにもかかわらず、Waymo Open Datasetのテストセットにおいて、車両クラスでミスマッチ率(mismatch ratio)を0.0001レベルまで低下させ、競争力のあるMOTAスコアを達成した。このミスマッチ率は、これまでに発表されたいかなる手法よりも数十倍も低く、nuScenesデータセットでも同様の優れた結果が得られている。本研究で提案するImmortal Trackerは、3DMOTの性能限界を押し上げるためのシンプルでありながら強力な解決策であると考えられる。コードは以下のGitHubリポジトリで公開されている:https://github.com/ImmortalTracker/ImmortalTracker。