SPG:意味的ポイント生成を用いた3Dオブジェクト検出のための教師なしドメイン適応

自動運転において、LiDARを用いた物体検出器は、異なる地理的場所や多様な天候条件下でも信頼性を維持する必要がある。近年の3D検出に関する研究は、単一ドメイン内での性能向上に注力しているが、本研究では、現代の検出器がドメイン間で性能が急激に低下する現象を明らかにした。本論文では、LiDARを用いた3D物体検出における非教師付きドメイン適応(Unsupervised Domain Adaptation: UDA)について検討する。Waymo Domain Adaptationデータセットを用いた実験から、性能低下の根本原因として点群の品質悪化を特定した。この問題に対処するため、本研究ではドメインシフトに対して検出器の信頼性を向上させる汎用的手法である「セマンティック点生成(Semantic Point Generation: SPG)」を提案する。具体的には、予測された前景領域にセマンティック点を生成し、遮蔽、低反射率、天候要因などによって生じる前景物体の欠損部分を忠実に復元する。生成されたセマンティック点を元の点群と統合することで、拡張された点群を得ることができ、これは現代のLiDARベースの検出器に直接入力可能である。SPGの広範な適用可能性を検証するため、代表的な2つの検出器であるPointPillarsおよびPV-RCNNを用いて実験を行った。UDAタスクにおいて、SPGはすべての物体カテゴリおよびすべての難易度レベルで両検出器の性能を顕著に向上させた。また、SPGは元のドメインにおける物体検出性能の向上にも寄与する。Waymo Open DatasetおよびKITTIデータセットにおいても、SPGはこれらの手法の3D検出結果をすべてのカテゴリで改善した。特にPV-RCNNと組み合わせた場合、KITTIデータセットにおいて最先端の3D物体検出性能を達成した。