
少数回学習(Few-shot learning)は、少数の例えで新しいクラスを認識することを目指している。従来の事前学習ベースの手法は、特徴抽出器を事前学習した後、最近接重心に基づくメタラーニングにより微調整(fine-tuning)を行うことでこの問題に対処している。しかし、実験結果から、微調整ステップによる性能向上は限定的であることが示されている。本論文では、まず、その原因を明らかにする。すなわち、事前学習された特徴空間において、ベースクラスはすでに緊密なクラスタを形成している一方で、新しいクラスは大きな分散を持つグループとして広がっていることから、特徴抽出器の微調整は意味が薄いことが示唆される。そこで、特徴抽出器の微調整にとどまらず、より代表的なプロトタイプ(prototype)の推定に注目する。これにより、新たなプロトタイプ補完に基づくメタラーニングフレームワークを提案する。本フレームワークは、以下の3段階で構成される。第一に、原始的な知識(クラスレベルの部分情報または属性アノテーション)を導入し、既知の属性に対して代表的な特徴を抽出して事前知識(prior)として用いる。第二に、未知の属性に対する代表的な特徴を推定するための「部分/属性転移ネットワーク」を設計し、補完的な事前知識を学習する。第三に、これらの事前知識を用いてプロトタイプを補完する「プロトタイプ補完ネットワーク」を構築する。さらに、プロトタイプ補完の誤差を回避するため、未ラベルサンプルを活用して平均ベースのプロトタイプと補完されたプロトタイプを統合するガウス分布に基づくプロトタイプ統合戦略を開発した。広範な実験により、本手法が(i)より正確なプロトタイプを獲得し、(ii)誘導的(inductive)および従属的(transductive)なFSL設定において優れた性能を達成することを示した。