
要約
分布外(Out-of-Distribution, OOD)サンプルの検出は、自律システムや医療分野などオープンワールド環境および安全に敏感な応用において重要な役割を果たす。近年、対照学習や事前学習タスク(pretext learning)を用いた自己教師付き表現学習手法が、OOD検出性能の向上に有効であることが示されている。しかしながら、こうしたアプローチの主要な課題の一つは、シフト変換(shifting transformations)および事前学習タスクの選択が、ドメイン内(in-domain)の分布に依存する点にある。本論文では、訓練データに対して複数のシフト表現を学習するための、シフト変換学習設定を活用するシンプルなフレームワークを提案する。OOD検出の性能向上を目的として、最適なシフト変換および事前学習タスクの選定問題に対処するため、OOD学習サンプルを一切必要とせずに、変換の選択とその表現学習への影響を自動的に調整する簡単なメカニズムを提案する。広範な実験を通じて、本手法が複数の画像データセットにおいて、最先端のOOD検出モデルを上回ることを示した。また、現実世界の応用に適したOOD検出器の特性を定義し、提案手法が既存の最先端技術に対して有効であることを実証した。