
要約
本稿では、量子力学における状態の重ね合わせ(superposition)の概念に着想を得た、カテゴリカルデータ向けの教師あり分類アルゴリズム「スパーステンソル分類器(Sparse Tensor Classifier, STC)」を提案する。観測値を特徴量の重ね合わせと捉えることで、機械学習における波動-粒子二重性の概念を導入し、古典的確率と量子的確率を統合する一般化された枠組みを提唱する。本研究では、STCが多数の機械学習手法には見られない広範な望ましい性質を備えつつも、同時に非常に直感的で理解・使用が容易であることを示す。構造化データおよびテキスト分類に対する実証評価の結果、STCは標準的な分類器および深層学習手法と比較して最先端の性能を達成しており、さらにデータ前処理やハイパーパラメータチューニングの必要性が極めて少ないという利点も有している。さらに、STCは個々の入力サンプルに対する予測の解釈だけでなく、各ターゲットラベル全体に対する予測の説明もネイティブに提供可能である。