変分関係点補完ネットワーク

実際のスキャンにより得られる点群データは、視点の制約、オクルージョン、ノイズの影響により、しばしば不完全な形状となる。従来の点群補完手法は、全体的な形状の骨格(スケルトン)を生成する傾向があり、微細な局所的な形状情報を捉えきれていない。さらに、これらの手法は主に決定論的な部分点群から完全点群へのマッピングを学習するが、人工物に特有の構造的関係性を無視している。本論文では、これらの課題に対処するため、変分的枠組みに基づく新規ネットワーク、Variational Relational point Completion network(VRCNet)を提案する。本手法は以下の2つの特徴を持つ。1)確率的モデリング:部分点群と完全点群の間で整合的な確率的モデリングを実現するため、二重パスアーキテクチャを提案する。一方のパスは完全点群を入力として、点群VAE(Variational Autoencoder)を学習することで再構成を行う。他方のパスは部分点群を入力として完全点群を生成し、学習中に再構成パスから得られた分布を用いて、生成された点群の潜在空間分布をガイドする。2)関係性強化:局所的な形状細部を粗い補完結果を条件として精緻化するため、点群の自己注意機構(self-attention kernel)と点群選択的カーネルモジュール(selective kernel module)を精心に設計し、点間の関係性を有効に活用する。また、本研究では、10万点以上にのぼる高品質なスキャンデータを含む多視点部分点群データセット(MVP dataset)を構築した。このデータセットでは、各3D CADモデルに対して26個の均等に分布したカメラポーズから部分3D形状をレンダリングしている。広範な実験により、VRCNetがすべての標準的な点群補完ベンチマークで最先端の手法を上回ることを示した。特に、実世界の点群スキャンに対して高い汎化性能とロバスト性を示しており、実用性の高い補完性能を実現している。