
要約
近年、ディープラーニング手法が産業品質管理における表面欠陥検出問題の解決に用いられるようになってきた。しかし、学習に大量のデータを必要とし、しばしば高精度なラベルが必要となるため、多くの産業的課題は容易に解決できないか、アノテーションの要求に伴い、解決コストが著しく増加してしまう。本研究では、完全教師あり学習手法に求められる過度な要件を緩和し、詳細なアノテーションの必要性を低減する。提案するディープラーニングアーキテクチャにより、弱教師あり(画像レベル)ラベルから混合教師あり、さらには完全教師あり(ピクセルレベル)ラベルまで、さまざまな詳細度のアノテーションを用いた表面欠陥検出タスクの可能性を検討した。提案手法は、欠陥のセグメンテーションと分類の結果を出力する二つのサブネットワークから構成されるエンドツーエンドアーキテクチャである。本手法は、産業用品質検査の複数のデータセット(KolektorSDD、DAGM、Severstal Steel Defect)上で評価された。また、実世界の産業課題を解決する過程で収集された3000枚以上の画像を含み、複数の欠陥タイプを含む新しいデータセット「KolektorSDD2」も提示した。すべての4つのデータセットにおいて最先端の性能を達成した。完全教師あり設定では、既存のすべてのアプローチを上回り、画像レベルラベルのみが利用可能な弱教師あり設定でも、従来の弱教師あり手法を凌駕した。さらに、弱教師ありトレーニング画像に僅か数枚の完全アノテーション画像を追加する混合教師あり設定でも、完全教師ありモデルと同等の性能が得られ、アノテーションコストは著しく低減できることが示された。