
要約
過去数十年にわたり、ニューラルネットワークを用いた時系列予測は多くの研究の対象となってきました。近年のディープラーニングのブームを受けて、時系列予測にディープラーニングモデルを活用する研究が注目を集めています。その中で、これらのモデルの強みと弱みを評価することは極めて重要です。本論文では、複数ステップ先の時系列予測において、ディープラーニングモデルの性能を比較する評価研究を提示します。対象となるディープラーニング手法には、単純な再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、長短期記憶(LSTM)ネットワーク、双方向LSTMネットワーク、エンコーダデコーダ型LSTMネットワーク、および畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が含まれます。さらに、確率的勾配降下法(SGD)および適応的モーメント推定(Adam)を用いた訓練を行う単純なニューラルネットワークとの比較も行います。本研究では、ベンチマーク時系列データセットを用いた単変量時系列の複数ステップ先予測に焦点を当て、文献に報告された関連手法との結果比較も併せて実施しています。その結果、双方向LSTMネットワークおよびエンコーダデコーダ型LSTMネットワークが、提示された時系列問題において最も高い予測精度を達成することが明らかになりました。