
要約
普遍的な病変検出(Universal Lesion Detection: ULD)は、コンピュータ断層撮影におけるコンピュータ支援診断において重要な役割を果たしています。粗い段階から細かい段階への二段階検出アプローチでは有望なULD結果が報告されていますが、このような二段階のULD手法は、オブジェクト提案時の正例と負例のアンカーの不均衡や、関心領域(Region of Interest: RoI)提案の位置特定回帰および分類における監督不足などの問題に依然として悩まされています。境界マップ(Bounding Map: BM)などの疑似セグメンテーションマスクを活用することで上記の問題を一定程度緩和できますが、ULDにおける多様な病変形状とサイズを効果的に処理することは未解決の課題となっています。本論文では、BMに基づく条件付き訓練を用いた二段階ULD手法を提案します。この手法は (i) 伝統的なIoUベースのルールではなく、BMに基づく条件付け(BM-based Conditioning: BMC)メカニズムを用いてアンカーサンプリングを行うことで正例と負例のアンカー不均衡を軽減し、(ii) 病変のバウンディングボックスから自動的にサイズ適応型BM(Adaptive Bounding Map: ABM)を計算し、ABM監督セグメンテーションを通じて病変位置特定精度を向上させるという特徴を持っています。最新の4つの手法との比較実験により、提案手法は高価な病変マスク注釈なしでほぼ無料で検出精度を向上させることができることが示されました。