
要約
感情認識(Emotion Recognition, ER)は、健康・ウェルビーイングから著者特徴分析、消費者分析、セキュリティに至るまで、実世界の多くの応用分野において重要な役割を果たす自然言語処理(Natural Language Processing, NLP)の課題である。現在のERアプローチは、感情が同時に存在しうることを考慮せずに、感情を独立して分類する傾向にあり、複数の感情が重なり合う可能性のある曖昧性を無視している。本研究では、複数ラベル感情分類をスパン予測(span-prediction)として定式化した新規モデル「SpanEmo」を提案する。このアプローチにより、ERモデルが文内の単語とラベル間の関連性をより効果的に学習できるようになる。さらに、入力文における複数の共存感情を正確にモデル化することを目的とした損失関数を導入した。SemEval2018の多ラベル感情データセットを用いた実験において、英語、アラビア語、スペイン語の3言語セットで本手法の有効性を検証した。最終的に、モデル性能の向上および感情クラスと文内の単語との間に意味ある関連性を学習するという観点から、本手法の利点を示すさまざまな分析結果を提示する。