
要約
ブラインド超解像(Super-Resolution: SR)手法は、未知の劣化要因を含む低解像度画像から高品質な高解像度画像を生成することを目指している。しかし、自然画像にはさまざまな種類および程度のぼかしが存在する。一部のぼかしはカメラの固有の劣化特性に起因するが、他には意図的に施されたものもあり、美術的効果(例えばボケ効果、Bokeh効果)のために意図的に導入される場合もある。このような意図的なぼかしの場合、SR手法がどのぼかしを除去すべきか、どのぼかしを維持すべきかを明確に分離することは極めて困難となる。本論文では、SR特徴量に対してキーネル指向型の適応的局所調整(Kernel-Oriented Adaptive Local Adjustment: KOALA)を導入した新しいブラインドSRフレームワーク、KOALAnetを提案する。この手法は、実画像に見られる空間的に変化するぼかし特性に適応するため、空間的に変化する劣化および復元キーネルを同時に学習する。提案手法KOALAnetは、ランダムな劣化を加えて合成された低解像度画像に対して、最近のブラインドSR手法を上回る性能を示す。さらに、焦点が合っている領域と合っていない領域が混在するアート写真においても、過剰なシャープ化を避け、自然な復元結果を実現できることを示した。これにより、意図的なぼかしを含む画像に対して、効果的に適応可能な高品質な超解像が可能となる。