HR-Depth:高解像度自己教師付き単眼深度推定

自己教師あり学習は、単一画像からの深度推定において大きな可能性を示しており、画像シーケンスを唯一の教師信号として利用する。これまで、高解像度画像を深度推定に活用しようとする試みがなされてきたが、推定精度の著しい向上にはつながっていない。本研究では、その原因が大勾配領域における深度推定の不正確さに起因することを明らかにした。この不正確さにより、解像度が向上しても双線形補間誤差は徐々に消失せず、精度改善が限定的となる。大勾配領域におけるより正確な深度推定を得るためには、空間的・意味的情報を保持した高解像度特徴量を獲得する必要がある。そこで、以下の2つの有効な戦略を採用した改良型DepthNet、HR-Depthを提案する。(1) DepthNetにおけるスキップ接続を再設計し、より優れた高解像度特徴量を取得する。(2) 特徴量をより効率的に融合するため、Squeeze-and-Excitation(fSE)モジュールを提案する。ResNet-18をエンコーダとして用いたHR-Depthは、パラメータ数が最少でありながら、高解像度および低解像度の両条件下で、従来の最先端(SoTA)手法をすべて上回る性能を達成した。さらに、従来の最先端手法は、非常に複雑で深層なネットワーク構造を採用し、膨大なパラメータ数を必要としており、実用応用に制約があった。そこで、MobileNetV3をエンコーダとして用いる軽量ネットワークも構築した。実験の結果、この軽量ネットワークは、パラメータ数がわずか20%の水準で、Monodepth2など多くの大規模モデルと同等の性能を発揮することが確認された。本研究のすべてのコードおよびモデルは、https://github.com/shawLyu/HR-Depth にて公開される予定である。