
要約
本稿では、既存の意味解析器を新しい環境(例えば、新しいデータベーススキーマ)に適応させるための「ゼロショット実行可能な意味解析に対する接地型適応(Grounded Adaptation for Zero-shot Executable Semantic Parsing: GAZP)」を提案する。GAZPは、前方方向の意味解析器と後方方向の発話生成器を組み合わせることで、新たな環境においてデータ(例:自然言語発話とSQLクエリ)を合成し、その入出力の一貫性を検証したサイクル一貫性を持つサンプルを選別して解析器を適応させる。従来のデータ拡張手法とは異なり、GAZPは訓練環境内で検証されていない例を合成するのではなく、新たな環境内で生成された例について、入力と出力の整合性を実際に検証した上で合成を行う。Spider、Sparc、CoSQLにおけるゼロショット意味解析タスクにおいて、GAZPはベースライン解析器の論理形式精度および実行精度を向上させた。分析結果から、GAZPは訓練環境におけるデータ拡張手法を上回る性能を発揮し、GAZPによって合成されたデータ量が増えるほど性能が向上することが示され、サイクル一貫性が成功した適応の鍵であることが明らかになった。