
要約
現在、大多数の画像品質評価(IQA)モデルは、経験的に収束が遅いMAEまたはMSE損失関数に基づいて教師学習が行われている。正規化が高速収束を促進するという点は広く知られている。したがって、本研究ではIQA向け損失関数の設計において正規化の活用を検討する。具体的には、予測品質スコアと対応する主観的品質スコアをまず正規化し、その正規化された値間の差のノルムに基づいて損失を定義する。このようにして得られる「ノルム内ノルム(Norm-in-Norm)」損失は、IQAモデルが主観的品質スコアに対して線形な予測を行うことを促進する。学習後には、最小二乗回帰を用いて予測品質から主観的品質への線形マッピングを決定する。理論的に、新たな損失関数がIQAの一般的な評価指標(PLCCおよびRMSE)と密接に関連していることが示された。さらに、理論的分析により、組み込まれた正規化によって損失関数の勾配がより安定し、予測可能になることが証明された。これは、IQAモデルのより高速な収束を促進する。さらに、提案する損失関数の有効性を実験的に検証するために、実世界画像(in-the-wild)の品質評価という困難な課題に適用した。KonIQ-10kおよびCLIVEの2つの関連データセットにおける実験結果から、MAEまたはMSE損失と比較して、新たな損失関数を用いることでIQAモデルの収束が約10倍速くなり、最終的なモデル性能も向上することが明らかになった。提案モデルは、この困難な課題において最先端の予測性能を達成した。再現可能な科学的研究を支援するため、本研究のコードはGitHub上で公開されている(https://github.com/lidq92/LinearityIQA)。