ROSE:網膜OCT血管造影血管分離データセットと新規モデル

光干渉断層撮影血管造影(Optical Coherence Tomography Angiography, OCT-A)は非侵襲的な画像診断技術であり、毛細血管レベルの解像度で網膜血管を可視化するため、近年その利用が急速に拡大している。しかし、毛細血管の可視性が低く、血管構造が極めて複雑なため、OCT-A画像における網膜血管の自動分節は、多くの眼疾患の理解において重要な意義を持つにもかかわらず、研究が十分に行われていない。さらに、学習および検証用に手動で血管ラベル付けが施された公開可能なOCT-Aデータセットは存在しなかった。これらの課題に応じ、本研究では網膜画像解析分野において初めて、網膜OCT-A分節用データセット(Retinal OCT-A SEgmentation dataset, ROSE)を構築した。このデータセットは、中心線レベルまたはピクセルレベルでの血管アノテーションが付与された合計229枚のOCT-A画像から構成されており、研究コミュニティの皆様が関連分野の研究を推進するため、公開された。第二に、太い血管と細い血管をそれぞれ別々に検出可能な新しい「分割ベースの粗いから細かい段階への血管分節ネットワーク」(Split-based Coarse-to-Fine vessel segmentation network, SCF-Net)を提案した。SCF-Netでは、まず「分割ベースの粗い分節(Split-based Coarse Segmentation, SCS)モジュール」を導入し、血管の初期信頼度マップを生成し、その後「分割ベースの精緻化(Split-based Refinement, SRN)モジュール」を用いて網膜微小血管の形状・輪郭を最適化する。第三に、提案したROSEデータセット上で最先端の血管分節モデルおよびSCF-Netの性能を包括的に評価した。実験結果から、従来の手法および他の深層学習手法と比較して、SCF-NetがOCT-A画像における血管分節性能において優れた結果を示したことが明らかになった。