11日前
CNNを用いた距離予測とグラフベースのマッチング戦略を活用した細胞のセグメンテーションとトラッキング
Tim Scherr, Katharina Löffler, Moritz Böhland, Ralf Mikut

要約
顕微鏡画像シーケンスにおける細胞の正確なセグメンテーションとトラッキングは、組織や臓器、あるいは全体の生物体の発生を研究する上で重要な課題である。しかし、信号対雑音比(SNR)が低い画像における接触している細胞のセグメンテーションは、依然として困難な問題である。本論文では、顕微鏡画像における接触細胞のセグメンテーションを実現する手法を提案する。本手法は、距離マップに着想を得た新しい細胞境界の表現を用いることで、トレーニングプロセスにおいて接触細胞だけでなく、近接する細胞も有効に活用できる。さらに、この表現はアノテーションエラーに対して著しく頑健であり、トレーニングデータ中に存在しない、あるいは過小代表されている細胞種類を含む顕微鏡画像のセグメンテーションにおいても有望な結果を示している。提案する隣接距離の予測には、2つのデコーダパスを備えた適応型U-Net型畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いる。また、細胞トラッキングタスクにおける本手法の評価のために、グラフベースの細胞トラッキングアルゴリズムを適応させた。この適応されたトラッキングアルゴリズムは、コスト関数に運動推定を組み込むことで、短いフレームシーケンスにわたってセグメンテーションマスクが欠落したトラックを再連結可能にしている。本研究で提案する「検出に基づくトラッキング」統合手法は、IEEE ISBI 2020 セルトラッキングチャレンジ(http://celltrackingchallenge.net/)において、KIT-Sch-GEチームとして複数の上位3位以内の成績を達成し、多様なデータセットに対して単一のセグメンテーションモデルを用いて2度のトップパフォーマンスを記録するなど、その有効性を実証した。