
本稿では、セマンティックセグメンテーションの文脈において、ソースドメインからターゲットドメインへ知識を転移する非教師ありドメイン適応(unsupervised domain adaptation)に焦点を当てる。従来のアプローチは、ターゲットドメインのラベルなしデータを活用するため、擬似ラベル(pseudo label)を真のラベル(ground truth)とみなして処理する。しかし、ターゲットドメインの擬似ラベルは、通常、ソースドメインで学習されたモデルによって予測される。そのため、学習ドメインとテストドメインの間の分布差異(domain discrepancy)により、予測結果に誤りが含まれる場合が避けられず、その誤ったラベルが最終的な適応モデルに伝搬され、学習プロセスの品質を著しく損なう可能性がある。この問題を克服するため、本稿では学習過程において予測の不確実性(prediction uncertainty)を明示的に推定することで、非教師ありセマンティックセグメンテーション適応における擬似ラベル学習の修正を提案する。入力画像に対して、モデルはセマンティックセグメンテーションの予測結果とともに、その予測の不確実性を出力する。具体的には、不確実性を予測の分散(prediction variance)としてモデル化し、最適化目的関数にその不確実性を組み込む。提案手法の有効性を検証するため、広く用いられている合成データから実世界データへの適応ベンチマーク(GTA5 → Cityscapes、SYNTHIA → Cityscapes)およびクロスシティベンチマーク(Cityscapes → Oxford RobotCar)の3つの設定で評価を行った。広範な実験により、本手法が(1)予測分散に応じて動的に異なる信頼度閾値を設定し、(2)ノイズを含む擬似ラベルからの学習を修正し、(3)従来の擬似ラベル学習手法に比べて顕著な性能向上を達成し、すべてのベンチマークで競争力のある結果を示すことを示した。