11日前

分子グラフにおける方向性のあるメッセージ伝達

Johannes Gasteiger, Janek Groß, Stephan Günnemann
分子グラフにおける方向性のあるメッセージ伝達
要約

最近、グラフニューラルネットワーク(GNN)は分子の量子力学的性質を予測する分野で著しい成果を上げている。これらのモデルは、原子(ノード)間の距離のみを用いて分子をグラフとして表現するが、原子間の空間的方向性については考慮していない。しかし、実験的ポテンシャルにおいて、特に角度ポテンシャルなどにおいて方向性の情報は中心的な役割を果たしている。この制限を緩和するために、本研究では「方向性メッセージ伝達(directional message passing)」を提案する。この手法では、原子自体の表現ではなく、原子間を伝達されるメッセージを埋め込む。各メッセージは座標空間における特定の方向と関連付けられる。これらの方向性メッセージ埋め込みは、分子が回転する際にその方向も一緒に回転するため、回転等価性(rotational equivariance)を満たす。さらに、信念伝搬(belief propagation)に類似したメッセージ伝達スキームを提案し、メッセージ間の角度に基づいてメッセージを変換することで方向性情報を有効に活用する。また、理論的に根拠を持つ直交基底を構築するため、球面ベッセル関数と球面調和関数を用いる。これにより、従来広く用いられているガウス径方向基底よりも少ないパラメータ数(1/4未満)で、より優れた性能を達成する。これらの革新を統合して、方向性メッセージ伝達ニューラルネットワーク(DimeNet)を構築した。DimeNetは、MD17データセットにおいて従来のGNNより平均76%、QM9データセットでは31%の性能向上を達成した。本研究の実装コードはオンラインで公開されている。

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