
要約
我々は、エンドツーエンド型の音源分離システム「Wavesplit」を提案する。このモデルは、単一の混合信号から各音源の表現を推定し、その推定された表現に基づいて各音源信号を再構成する。モデルは原始波形から両タスク(音源表現の推定と音源信号の推定)を同時に行うように学習される。Wavesplitはクラスタリングを用いて音源表現の集合を推定することで、分離問題の根本的な順列問題(permutation problem)を解決する。音声分離において、本手法は従来の手法と比較して、長時間で困難な音声録音に対するより頑健な分離を実現する、シーケンス全体にわたる話者表現を提供する。Wavesplitは、2人または3人の話者によるクリーンな混合音声(WSJ0-2/3mix)において、またノイズや混響が含まれる環境(WHAM/WHAMR)において、既存の最先端技術を刷新する。さらに、最新のLibriMixデータセットにおいても新たなベンチマークを設定した。最後に、単一の腹部心電図から胎児と母体の心拍を分離する事例を通じて、Wavesplitが音声分離以外の分野にも適用可能であることを示した。