
要約
多数の現実世界のグラフやネットワークは、本質的に異質性を有しており、多様なノードタイプと関係タイプを含む。異質グラフ埋め込み(heterogeneous graph embedding)とは、異質グラフが持つ豊かな構造的および意味的情報を、低次元のノード表現に統合する手法である。既存のモデルは、複合的な関係を捉え、近傍ノードの選択を導くために、異質グラフ内で複数のメタパス(metapath)を定義する。しかし、これらのモデルはいずれも、ノードのコンテンツ特徴を無視する、メタパス上の中間ノードを棄却する、あるいは1つのメタパスのみを考慮するといった3つの限界を抱えている。こうした課題を解決するため、本研究では、最終的な性能向上を図る新たなモデル「メタパス集約型グラフニューラルネットワーク(Metapath Aggregated Graph Neural Network, MAGNN)」を提案する。具体的には、MAGNNは以下の3つの主要な構成要素を採用している:(1)入力ノード属性を統合するノードコンテンツ変換、(2)中間の意味的ノードを組み込むためのイントラメタパス集約、(3)複数のメタパスからのメッセージを統合するインター・メタパス集約。ノード分類、ノードクラスタリング、リンク予測の3つの実世界異質グラフデータセットを用いた広範な実験により、MAGNNが最先端のベースラインと比較してより高い予測精度を達成することが確認された。