
要約
従来の研究では、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が画像ノイズ除去タスクにおいて優れた性能を発揮することを示している。しかし、局所的で剛性の高い畳み込み演算の制約により、これらの手法は過剰平滑化(oversmoothing)というアーティファクトを引き起こす傾向がある。より深いネットワーク構造を採用することでこれらの問題を緩和できるが、それに伴い計算負荷が増加するという課題がある。本論文では、効率的な単一画像のブランクノイズ除去を実現するため、新たな空間適応型ノイズ除去ネットワーク(SADNet)を提案する。空間的なテクスチャやエッジの変化に適応するため、残差型の空間適応ブロックを設計した。可変畳み込み(deformable convolution)を導入することで、空間的に相関する特徴量を適切にサンプリング・重み付け可能にした。マルチスケール情報を捉えるために、コンテキストブロックを備えたエンコーダ-デコーダ構造を採用した。粗い段階から細かい段階へと段階的にノイズ除去を行うことで、高品質なノイズのない画像を生成することができる。本手法は、合成データおよび実画像のノイズデータセットの両方に対して適用した。実験結果から、定量的・定性的な評価において、従来の最先端手法を上回る性能を達成できることを示した。