
要約
少サンプル学習(few-shot learning)は、コンピュータビジョンにおける基本的な課題であり、膨大なラベル付きデータの必要性を軽減する可能性を秘めている。これまでの多数の少サンプル学習アプローチは、より複雑なニューラル特徴抽出機構や分類器適応戦略、さらにはタスク定義自体の最適化に注力してきた。本論文では、最先端の少サンプル学習手法(CNAPS)に、単純なクラス共分散に基づく距離尺度であるマハラノビス距離(Mahalanobis distance)を導入することで、それ自体が顕著な性能向上をもたらす可能性を検証する仮説を提示する。さらに、この距離尺度が要請する高次元特徴共分散を、極めて少ないサンプルから有用に推定可能な適応型特徴抽出機構を学習可能であることも明らかにした。本研究の成果として、CNAPSより最大9.2%少ない学習可能パラメータ数を有し、標準的な少サンプル画像分類ベンチマークデータセットにおいて最先端の性能を最大6.1%上回る新しい「Simple CNAPS」アーキテクチャを提案する。