
要約
うつ病や不安障害など、精神疾患の世界規模での増加は、深刻な問題となっている。特に、高等教育機関の学生において、うつ病(主要うつ障害)の発症が顕著に増加しており、学業上のプレッシャーがその要因となっているか、あるいはそれによって悪化している可能性がある。この異常な状況の背景にはまだ明確な理由が明らかになっていない(ただし、広く研究されている)。しかし、すでに症状を抱えている学生に対しては、治療を受けることが不可欠である。その第一歩として、症状のスクリーニングが重要となる。従来のスクリーニング方法としては、臨床的な面談や質問票への回答が用いられてきた。しかし、現代においては、ソーシャルメディア上で共有されるデータが、学生が専門的な支援を受けることのできない状況でも、うつ病の兆候を検出するための普遍的な情報源となり得る。これまでの研究では、一般人口におけるうつ病の検出にソーシャルメディアデータを活用した例が多数報告されており、多くは投稿された画像やテキスト、あるいはメタデータに焦点を当てていた。本研究では、インスタグラムに投稿された画像とそのキャプションから得られるデータを用い、高等教育機関の学生におけるうつ症状の重症度を、深層学習モデルと特徴工学に基づくモデルを比較して検出することを目的とする。実験の結果、BDI(ベッドフォード・ディプロイ・インデックス)スコアが20以上である学生を、最良のケースにおいて再現率0.92、適合率0.69で検出できることが明らかになった。この成績は、統合モデル(フォージョンモデル)によって達成された。本研究の結果は、大規模なうつ病スクリーニングの可能性を示しており、リスクにさらされている学生の早期発見に貢献する可能性がある。