
ソースドメインにおけるラベル付きインスタンスとターゲットドメインにおけるラベルなしインスタンスが与えられた状況下で、非監督的ドメイン適応(Unsupervised Domain Adaptation, UDA)は、ターゲットドメインのインスタンスを効果的に分類できる分類器を学習することを目的としている。近年の進展は、深層ネットワークを用いたドメイン対抗学習(domain-adversarial training)により、ドメイン不変特徴を学習することに依拠している。しかしながら、タスク分類器とドメイン分類器が別々に設計されていることにより、モード崩壊(mode collapse)という問題が生じ、ドメイン間における特徴とカテゴリの同時分布(joint distribution)の整合化が十分に行えないという制約がある。この課題を克服するため、本研究では「識別的対抗的ドメイン適応(Discriminative Adversarial Domain Adaptation, DADA)」と呼ばれる新たな対抗学習手法を提案する。DADAはカテゴリとドメインを統合した分類器に基づき、入力インスタンスに対してカテゴリ予測とドメイン予測の間で相互に抑制する関係を促進する新しい対抗的目的関数を導入している。実用的な条件下で、この手法が最小最大ゲーム(minimax game)を定義でき、同時分布の整合化を促進することを示した。従来の閉集合ドメイン適応(closed set domain adaptation)に加え、極めて困難な部分集合(partial set)およびオープン集合(open set)ドメイン適応の設定に対してもDADAを拡張した。実験結果により、提案手法の有効性を確認でき、ベンチマークデータセットにおいて、3つの設定すべてで新たな最良性能(state-of-the-art)を達成した。