
要約
事実検証は、構文的・意味的に正しいが十分な根拠に支えられていない主張を特定するため、細粒度な自然言語推論能力を必要とする。本論文では、カーネルに基づく注目機構を用いることで、より細粒度な事実検証を実現する「カーネルグラフアテンションネットワーク(KGAT)」を提案する。与えられた主張と、それらを支える可能性のある証拠文の集合から構成される証拠グラフに対して、KGATはノードカーネルとエッジカーネルを導入する。ノードカーネルは証拠ノードの重要性をより適切に評価し、エッジカーネルはグラフ内での証拠の細粒度な伝達を実現する。これにより、グラフアテンションネットワークの性能を向上させ、より正確な事実検証を実現する。KGATは、事実検証のための大規模ベンチマークであるFEVERにおいて、70.38%のFEVERスコアを達成し、既存の事実検証モデルを著しく上回った。我々の分析から、ドット積アテンションと比較して、カーネルに基づくアテンションは、証拠グラフ内の関連する証拠文や意味のある手がかりに集中する傾向があることが示された。これがKGATの効果性の主な要因であると結論づけられる。