17日前
NISER:人気バイアスを扱うための正規化されたアイテムおよびセッション表現
Priyanka Gupta, Diksha Garg, Pankaj Malhotra, Lovekesh Vig, Gautam Shroff

要約
セッションベースの推薦(SR)モデルの目的は、ユーザーのセッション内での過去の行動(例:アイテム/製品のクリック)情報を活用し、ユーザーが次にクリックする可能性が高いアイテムを推薦することである。近年、セッション内のアイテム相互作用の順序をグラフ構造データとしてモデル化することで、複雑なアイテム遷移をより適切に表現できることが示された。グラフニューラルネットワーク(GNN)は、このようなセッショングラフに対して有用な表現を学習でき、従来の順序モデル(例:再帰型ニューラルネットワーク)と比較して性能向上が確認されている[14]。しかし、本研究では、こうしたGNNベースの推薦モデルが「人気偏向(popularity bias)」に悩まされていることに着目した。すなわち、モデルは人気のあるアイテムの推薦に偏りがちであり、人気の低い長尾アイテム(頻度が低いか、アクセス数が少ないアイテム)の推薦に失敗する。その結果、実用的なオンライン環境で日々登場する人気の低い新規アイテムに対しては、モデルの性能が著しく低下する。本研究では、この問題の一部が、学習されたアイテムおよびセッショングラフ表現(埋め込みベクトル)の大きさ(ノルム)に起因していることを示した。そこで、表現を正規化する訓練プロセドを提案し、この問題を緩和した。正規化されたアイテムおよびセッショングラフ表現を用いるモデルは、以下の点で顕著な性能向上を示した:(i)オフライン設定における人気の低い長尾アイテムの推薦精度向上、および(ii)オンライン設定における人気の低い新規アイテムに対する推薦性能の向上。さらに、本手法は3つのベンチマークデータセットにおいて、既存の最先端手法を大幅に上回る結果を達成した。