Nvidia、OpenAIに1000億ドル投資でAI生態系への影響力強化
NvidiaがOpenAIに1000億ドルを投資するという発表により、同社のAI関連投資戦略の規模と影響力が改めて浮き彫りになった。この取引は、2022年の生成AIブーム以降、Nvidiaが急成長を遂げ、シリコンバレーの中心的存在へと躍り出たことを象徴している。わずか1週間前にはIntelに50億ドル、自働運転スタートアップWayveに5億ドル、英国のクラウドプロバイダーNscaleに約6億7000万ドルを投資しており、投資の勢いは加速している。 この1000億ドルの投資は、Nvidia史上最大のものとなる見込みで、実行は複数年にわたり行われる予定。Nvidiaは、AIチップの供給を「優先的」に提供する立場にありながら、投資先が自社製品を使うことを義務づけていない。たとえば、AI企業CohereはNvidiaのチップを使う一方で、AMDの製品も採用している。 Nvidiaの投資は、自社のAIチップ技術と戦略的関係を持つ企業に集中している。代表的な例として、OpenAI、Mistral AI、Cohere、Runway AI、Safe Superintelligence、Thinking Machine Labsなど、AIモデル開発を担う企業への出資がある。また、量子コンピューティング分野にも注力しており、PsiQuantumやQuantinuumへの出資を通じて、将来のAI強化技術の基盤を構築している。 Nvidiaの非公開株式資産は2023年7月時点で18億ドルだったが、2024年7月には38億ドルに増加。公開株式保有も43億ドルに達しており、その投資ポートフォリオの規模と多様性が際立っている。こうした出資は、NvidiaがAIエコシステムの中心に位置づけられている証左だ。また、Nvidiaの出資が発表されると、投資家がその企業の株を買いたくなる傾向があり、Intelの株価は50億ドル投資発表後、18%上昇した。 Nvidiaの投資戦略は、資金の余剰を有効活用し、AI技術の未来を影響力を持つ形で牽引するという「Win-Win」の構図となっている。特に、企業がNvidiaの技術を採用するかどうかにかかわらず、自社のチップがAI開発の基盤となるよう、戦略的ネットワークを広げている。