Copilot+PCのゲーム互換性が飛躍的に向上へ Prismエミュレータ更新でARM対応が本格化
Microsoftが発表した新更新により、ARMアーキテクチャ搭載のCopilot+ PCでのゲームや旧来のアプリの動作が大きく改善される見通しとなった。この更新は、2024年以降に発売されたSnapdragon Xシリーズチップを搭載するWindows on Snapdragonデバイス向けに提供されたもので、特にゲームや高度なアプリケーションで求められる「AVX/AVX2」命令セットのエミュレーションを可能にした。この機能は、x86アーキテクチャで動作するソフトウェアをARM上で動かすために不可欠であり、従来は多くのゲームやプロフェッショナルアプリが起動できなかった原因の一つだった。 当初、MicrosoftとQualcommはARMベースのCopilot+ PCをAI性能と長時間バッテリーを武器に推進したが、その一方で、IntelやAMDのx86アーキテクチャと異なる構造ゆえに、多くの旧来アプリやゲームが互換性を失う問題が発生。特にゲーマー層からは「ゲームが動かない」という不満が相次ぎ、一部のSurface Laptop 7はAmazonで「よく返品される製品」として話題になった。Appleが2020年にIntelからMシリーズへ移行した際、Rosetta 2という自動互換層を導入し、多くのアプリが「何もしなくても動く」形でスムーズな移行を実現したのに対し、Microsoftの対応は遅れ気味だった。 今回、Microsoftが静かにリリースした更新(KB5066835)は、エミュレーション技術「Prism」を活用し、AVX/AVX2をソフトウェアレベルで再現。Windows Latestの報告によると、多くのゲームが起動可能になったが、パフォーマンスはタイトル依存となる。Microsoftは、この更新を正式にアピールせず、来年初頭に予定されるSnapdragon X2搭載新モデルの発売と合わせて本格的に導入する方針だという。 Qualcommも同技術を支持しており、ゲーム互換性の向上を急ぐ意向を示している。一方で、Intelは次世代の「Panther Lake」プロセッサを発表し、ゲーム性能で再び競争力を強化する動きを見せている。MicrosoftがAppleの成功事例を学び、より早期に強力な互換層を提供していたなら、ARM搭載PCの普及はさらに加速していた可能性がある。今回の更新は、ようやく「ゲームが動く」時代への第一歩となった。