ロビンフッドCEOが設立したAIスタートアップ、Harmonicが数学向けチャットボットをベータ公開
ロビンフッドCEOのヴラド・テネフ氏が共同設立したAIスタートアップ「Harmonic」は、このほどAIチャットボットアプリ「Aristotle」のベータ版をiOSとAndroid向けにリリースした。このアプリを通じて、ユーザーは同社が開発したAIモデルにアクセスできる。 Harmonicは「数学的推論」に特化し、AIが数学的な質問に対して「幻覚(ハルシネーション)を起こさない」回答を提供すると主張。同社は数学を含む、物理や統計、コンピューターサイエンスなど、数理に基づく分野での支援を目指している。CEOのチュドール・アキム氏は、TechCrunchのインタビューで「Aristotleは、推論と形式的検証を実施する最初の製品だ」と語った。数学的な領域では、同社が「幻覚がない」と保証している。 今後、Harmonicは企業向けのAPIや、消費者向けのウェブアプリのリリースも計画している。このベータ版リリースは、わずか数週間前に行われたシリーズBラウンドで1億ドルを調達した直後。同社の評価額は8億7500万ドルに達し、投資家は同社の「数学的超知能(MSI)」の実現可能性を高く評価したという。 数学を扱うAIは、独自の価値を持つだけでなく、推論能力が求められる唯一無二の分野として注目されている。このような能力を持つシステムは、他の分野でも応用が可能とされている。 アキム氏は、AristotleがLeanというオープンソースプログラミング言語で出力を作成し、その正しさをAIを使わずアルゴリズムで再確認していると説明。同社は、医療機器や航空分野など、重要な分野で出力の検証に使われている技術を活用している。 数学という限られた領域でも、幻覚を起こさないAIは実現が極めて困難とされている。最新の研究では、優れたAIモデルでも多くの幻覚を生じており、その問題は改善されていない。OpenAIの最新モデルも、過去のものよりもより多くの幻覚を示している。 Harmonicは、Aristotleが2025年の国際数学オリンピック(IMO)で金メダルを獲得したと発表。これは、機械で読み取れる形式で問題が提示された正式なテストでの結果。グーグルやOpenAIも同大会で金メダルを達成したが、自然言語で行われた非公式なテストでだった。