アリババが公開したQwen3-235B-A22B-2507モデル、Kimi-2を上回る性能と低コストFP8バージョンを搭載
中国の電子商取引大手アリババは、4月2025年に発表した「Qwen 3」に続く最新バージョンとして、Qwen3-235B-A22B-2507-Instructモデルをリリースした。このモデルは、数学、科学、論理、文章作成などのタスクで高いスコアを記録しており、同社の競合企業であるMoonshotが同年7月にリリースしたKimi-2を上回る性能を示している。また、アリババはこのモデルをオープンソースで公開しており、企業が自由にダウンロード・カスタマイズ・商用利用できるようにしている。 今回のアップデートには、FP8バージョンも含まれており、これは8ビット浮動小数点形式で、モデルのメモリ使用量と計算リソースを大幅に削減する。これにより、小規模なハードウェアやクラウド環境でも効率的に運用可能となり、推論速度が向上し、エネルギー消費も30〜50%低減される。 また、アリババは従来の「ハイブリッドリーディングモード」の採用を中止し、今後は「インストラクトモデル」と「リーディングモデル」を分離して開発する方針を発表した。これにより、ユーザーの指示に忠実に応答し、出力がより予測可能になるという。 Qwen3はApache 2.0ライセンスで公開されており、企業が商業目的で利用できる点も特徴。さらにQwen-Agentという軽量なフレームワークも提供し、エージェントシステムの構築を簡略化している。 開発者コミュニティからは高い評価が寄せられており、多くのユーザーがQwen3の性能と運用の柔軟性を称賛している。また、アリババは今後のアップデートとして、さらにパワフルなリーディングモデルやマルチモーダル対応モデルの開発を進めており、今後の進化が期待されている。 Qwen3は、オープンソースモデルがプロプライエタリモデルと競合できる段階に達したことを示しており、企業がAIを導入する際の選択肢として注目を集めている。