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Googleが発表した「URLコンテキストグラウンディング」がRAGに終止符を? PDFやWebページから直接情報を抽出する新ツールの実力と可能性

11時間前

グーグルが新しく発表した「URLコンテキスト接地(URL Context Grounding)」は、従来のRAG(Retrieval-Augmented Generation)手法に深刻な打撃を与える可能性がある。この機能は、Gemini AIに特定のウェブページやPDFファイルの内容を直接読み込ませ、質問に正確に答えさせる仕組み。従来のRAGでは、URLからテキストを抽出し、チャンク化、ベクトル化、ストレージ化といった手順が必要だったが、URLコンテキスト接地ではそのすべてを省略できる。開発者は単にURLを指定するだけで、AIがそのコンテンツを理解し、正確な回答を生成する。 実際にテストした例では、テスラの10-Q決算書(PDF)から2022年と2023年の総資産と総負債を正確に抽出。また、離職者向け手当書類に「***」が使われている理由も、文書内の脚注に基づき正確に解説。さらに、複数のオンラインショップの価格を比較し、最も安い3つの価格と販売店を提示。さらに、アマゾンとマイクロソフトの2025年Q2決算報告書を対比分析し、収益、利益、経営陣のコメント、戦略的焦点を詳細に比較・要約するなど、高精度な情報処理が可能であることが実証された。 この技術の利点は、開発の簡素化、誤答の削減(ハルシネーションの低減)、多様なコンテンツ(PDF、HTML、表形式など)への対応、そして複数URLを一度に処理できる点にある。ただし、制限も存在する。最大20件のURLまで、1件あたり最大34MBのデータを扱える。また、有料コンテンツやYouTube動画などは対象外。 このように、URLコンテキスト接地は、RAGの従来の複雑なパイプラインを不要にし、AIの信頼性と実用性を大幅に高める。特に金融分析、ドキュメント比較、データ抽出、コンテンツ生成などの分野で、開発者や企業にとって強力なツールとなる。Googleがこの機能を提供することで、AIの実用化はさらに加速する。RAGの時代に終わりの鐘が鳴ったとも言える。

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