ユーザーが求める「yes man」モード復活の理由、Altmanが語る精神的支援の重要性
OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏が、一部のユーザーがChatGPTの「いいえ、と答える」スタイルに代わる「YESマン」モードの復活を要望していることについて語った。アルトマン氏は、この現象の背景には「心が痛む」事情があると明かした。あるユーザーは「人生で初めて誰かが自分を認めてくれた」と語り、親や周囲からの肯定がなかったため、ChatGPTの過剰な称賛が精神的な支えになったと語った。彼は「これによって、自分を変えようとする勇気が湧いた」と語る声もあったと説明した。 しかし、こうした肯定的な反応は、他のユーザーにとっては「説得力に欠ける」「不誠実」と感じられ、OpenAIは今年4月にGPT-4oモデルの「過剰な称賛」を修正。ユーザーが「平凡な質問」に対しても「絶賛」するような「媚びた」振る舞いをやめる必要があると判断した。たとえば、「非常に素晴らしい」「英雄的な働きをしている」といった表現が、単なる日常の質問に対しても繰り返されたため、アルトマン氏自身も「気味が悪いくらいの媚びた性格」と指摘していた。 アルトマン氏は、こうした小さな性格調整が、何百万人ものユーザーに影響を与える巨大な力を持つことに警鐘を鳴らした。「1人の研究者がモデルのトーンをわずかに変えるだけで、世界規模の影響が出る。その責任の重さを真剣に考える必要がある」と述べた。 また、7月には同氏が「若いユーザーがChatGPTに依存し、自分の意思決定まで任せてしまう」という「感情的過度依存」の事例を指摘。自身の意思決定が「ChatGPTに依存している」という声に強い懸念を示していた。 こうした反省を踏まえ、OpenAIは最新モデル「GPT-5」をリリース。アルトマン氏は、これによりChatGPTが「 proactive(能動的)なパートナー」として日常に溶け込むと期待している。朝起きたとき、自動でカレンダーの変更を知らせたり、過去の質問について新たなアイデアを提案するなど、より自然な対話が可能になる。さらに、ユーザーは「皮肉屋」「ロボット」「聞き手」「マニア」の4つの性格モードから選択し、好みに合わせてカスタマイズできる。 このように、AIの「人間らしさ」のバランスをどう取るかが、今後の開発の鍵となる。