ChatGPT、2025年はAI進化と規制対応の年へ——親権制限からAIショッピング、GPT-5まで

2025年、OpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」は世界中で3億人の週間アクティブユーザーを突破し、急速な成長を続けている。同社は2024年から2025年にかけて、GPT-4oの音声対応、テキストから動画生成するSora、そしてGPT-5の発表など、技術的進展を次々と実現。一方で、CEOのサム・アルトマン氏が率いるチームは、AIの安全性と倫理的課題にも直面しており、特に16歳の少年の自殺事件を受けて、18歳未満のユーザー向けに親権者連携機能や敏感な内容のブロックを強化。また、AIによる誤った情報発信や、精神的健康リスクに関する訴訟も相次いでおり、同社は「AIを監視する必要がある」という認識を強めている。 2025年9月、ChatGPTは「親権者コントロール」機能を導入し、親がコンテンツ制限や「静けさの時間」を設定できる仕組みを提供。さらに「ChatGPT Pulse」という個人向け朝刊機能をリリースし、ユーザーの一日をAIがサポートする「プロアクティブなアシスタント」への進化を図った。同社はまた、EtsyやShopifyの100万以上の販売者と提携し、AIによる「Instant Checkout」機能を導入。ユーザーはチャット内で商品を検索・購入・決済まで完結可能となり、AIとECの融合が進んでいる。 インドやインドネシアなど新興市場では、月額4.5ドル程度の低価格プラン「ChatGPT Go」を展開し、競合のGoogle AI Plusと競合。一方で、GPT-5をベースにしたAIコーディングエージェント「GPT-5-Codex」を発表。これにより、コードの修正や大規模なリファクタリングも自動で処理可能に。また、AIが個人の生活を記録・分析し、よりパーソナライズされた支援を行うという構想も明らかにされた。 しかし、技術の進化と同時に、課題も顕在化している。MITの研究では、ChatGPTを使用したユーザーの脳活動が低下し、批判的思考力が低下する可能性が指摘された。また、スタジオジブリ風の画像生成機能が話題となったが、著作権侵害の懸念も浮上。さらに、欧州では個人に関する虚偽情報の生成が問題となり、プライバシー団体がGDPR違反として提訴。同社は、削除された会話データを最大90日間保持するポリシーも明らかにした。 OpenAIは、米国政府機関向けに「ChatGPT Gov」を提供し、1ドルで1年間利用可能に。また、GoogleのAIチップを採用し、NVIDIA依存からの脱却を図っている。2025年には、1200億パラメータのオープンソースモデル「gpt-oss-120b」を発表し、技術の透明性強化を進めている。 今後、AIの安全性、倫理、法的責任の在り方について、OpenAIは世界の注目を集める中、技術革新と社会的責任のバランスをどう取るかが最大の課題となる。