HyperAI超神経
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OpenAIが5年ぶりにオープンウェイト大規模言語モデルを無料公開し、ローカルPCでも動作可能に。メタやミストラルらとの競争で技術リードを強化。

1日前

OpenAIは2025年3月、6年ぶりに「オープンウェイト」な言語モデル「gpt-oss-120b」と「gpt-oss-20b」を公開した。これは、モデルの学習パラメータを公開することで、開発者が自由にカスタマイズ・最適化できる仕組み。同社は2019年のGPT-2以来、オープンウェイトモデルの提供を延期してきたが、近年の競争激化と自らのミッション再確認を背景に、方針を転換した。CEOのサム・アルトマンは年初、自社が「歴史の誤った側」にいたと認め、「AIの透明性と共有の重要性」を強調。この発表は、同社が非営利組織としての使命を維持しつつ、利益創出を可能にする新たな構造(非営利理事会監督下の利益創出事業体)を採用したことも背景にある。 開発の背景には、MetaのLlamaや中国のDeepSeekといったオープンウェイトモデルの台頭がある。特にDeepSeekの低コストで高性能なモデルが業界を揺るがし、OpenAIの閉鎖的アプローチが批判の的となった。この流れを受け、OpenAIは「GPT-OSS」の開発を急ピッチで進め、安全性と実用性の両立を図った。モデルは、Nvidia GPUや16GBメモリのPCでも動作可能で、コード生成、ウェブ検索、エージェント運用などの高度なタスクを実行。Hugging Face、AWS、Azure、Snowflake、Orangeなどとの連携により、研究機関や中小企業も容易に利用できる環境を整えた。 安全性面では、訓練データから有害な化学・生物・放射線・核関連情報を除外し、悪意ある微調整(fine-tuning)を想定したテストを実施。外部の専門機関3社による評価も実施し、悪用による高能力化は防げると判断。また、回答の「推論プロセス(chain-of-thought)」を可視化することで、不正行為の監視も可能にした。ただし、訓練データの詳細は非公開のまま。 Apache 2.0ライセンスで提供され、商用利用も許可。開発者や研究者に「ハッキングの自由」を提供することで、予期せぬイノベーションを促すという戦略。同社のグレッグ・ブロクマン氏は「チームが本当に力を入れた一品」と評し、業界の革新を期待している。 この動きは、OpenAIが「AIの民主化」を再確認する象徴的な出来事。非営利の理念と実用性の両立を試み、競合との差別化を図る一方で、技術の透明性と責任ある利用のバランスをどう保つかが今後の鍵となる。

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