ウィリーとアンスロピックが提携、学術研究でのAI倫理的統合を加速

世界の大手出版社WileyがAI開発の先駆けであるAnthropicとの戦略的なパートナーシップに向けた計画を発表した。この提携は、Anthropicが作成したオープンスタンダードModel Context Protocol (MCP)の導入を通じて、査読付き学術コンテンツとAIツールのシームレスな統合を可能にするものだ。 Wileyは、190年近い歴史を持つ世界的な大手出版社であり、研究や学習に関する信頼されるリーダーとして知られている。Anthropicは、安全で解釈可能なAIシステムを開発し、人類の利益につながるAIを提供することをミッションとして掲げるAI安全会社だ。Anthropicは、パブリック・ベネ핏・コーポレーション（社会的利益法人）として登録されており、実証テストと責任ある開発を重視している。 MCPの導入により、査読付きコンテンツがAIツール上で効果的に利用され、ユーザーに対して適切な文脈、作者の帰属、引用が提供されるようになる。この取り組みは、大学パートナーがWileyの研究コンテンツへのアクセスを一段と円滑にし、効率的な研究フローを実現することが目標だ。パートナーシップの詳細契約は今後調整される予定で、試験プログラムから実施が始まる。 WileyのAI成長部門シニアバイスプレジデントであるJosh Jarrettは、「研究の未来は、高品質な査読付きコンテンツがAIによる発見的核心になることにかかっています。我々のこの提携は、学術出版社が信頼できる科学的なコンテンツをAIプラットフォームに統合する際の基準を設けることを目指しており、他の機関や出版社でも採用可能な拡張性のある解決策を提供します。」と述べている。 Anthropicの高等教育パートナーシップ部門を統括するLauren Collettもコメントを寄せ、「Wileyとのパートナーシップは、ClaudeというAIツールを使って学生が査読付きコンテンツにアクセスし、学習と発見を向上させながら、適切な引用規則や学術の誠実性を維持することを目指したもので、我々のAIが人間の思考を助けるというコミットメントを示しています。」と語った。 この提携では、生命科学、教育、地質学などの分野でAIが活用される新たな用途に、Wileyの高品質コンテンツが利用可能となることが期待されている。また、WileyはAIの責任ある利用に対するコミットメントを示し、人的監視の重要性、透明性、公正性、適切な管理に焦点を当てたコア原則を公式に設定している。 背景の補足： このパートナーシップは、Anthropicの「Claude for Education」イニシアチブの一環として実施されるもので、教育分野での新規提携やツールの開発を強調している。「Claude for Education」は、高等教育における教授法、学習、管理、研究の強化を目指している。Wileyは、200年以上に亘って人間の可能性を解き放つというタイムレスなミッションを持ち続け、科学や教育の進歩に貢献してきた。Anthropicは、AIの安全性と解釈性に重点を置くことで、人類がAIの恩恵を受けられるように活動しており、特に教育分野でのAIの倫理性を重視している。両者の提携は、AI時代における学術コンテンツの利用方法に大きな影響を与え、未来的な研究環境の整備に一石を投じるものと見込まれている。