OpenAIのo3、Grok 4を4対0で破りAI将棋王に
OpenAIの推論最適化モデル「o3」が、イーロン・マスク氏率いるxAIの主力AI「Grok 4」を4対0で破り、AIチェス大会の優勝を飾った。この大会はグーグルのKaggleが主催し、8月5日から7日にかけて行われたキックオフ形式のトーナメント。参加したのはOpenAIのo3とo4-mini、xAIのGrok 4、GoogleのGemini 2.5 ProとGemini 2.5 Flash、AnthropicのClaude 4 Opus、DeepSeekのDeepSeek R1、Kimiのk2の計8モデル。 Grok 4は準決勝まで好調を維持し、強力な存在として注目されたが、決勝で対戦したo3に圧倒された。チェス.comの記者ペドロ・ピニャタ氏は、「Grok 4は準決勝までは圧倒的な強さを見せていたが、決勝ではまったく見違えるほど拙い手を連発し、o3に完封された」と評した。現世界チャンピオンのマグヌス・カールセン氏もYouTubeライブ配信で、「Grokは『理論だけを知っているけど実戦は全くわからない』ような人間のようだ。最悪のミスを連発している」と指摘。o3は冷静な戦略と正確な判断で、相手の混乱をあおりながら4勝を挙げた。 大会の3位はGoogleのGemini 2.5 Proが獲得。o4-miniを3.5対0.5で下した。 この勝利は、単なる技術力の差を越えて、OpenAIとマスク氏のAI戦略を巡る対立の象徴ともなっている。マスク氏は先日、Appleに対しApp Storeの偏向を理由に訴訟を検討すると発表。Altman氏はこれを「X(旧Twitter)を独占的に管理しているマスクの責任」と反論。さらに、5月にはAltmanがGrokに「AIの未来を担うべき人物は?」と問い、Grokは「マスクの安全性への配慮が重要だが、Altmanのアクセス性も不可欠。両者の強みを統合すべき」と回答。このやり取りは、AI開発における理念の対立を浮き彫りにしている。 AIチェスは、コンピュータの論理的推論力と戦略的思考を測る伝統的な指標。今回の結果は、OpenAIの推論モデルが現段階で最も優れた汎用AIであることを示唆している。