高通、骁龙X2 Eliteと第五代骁龙8至尊版で端側AI生態を本格展開
高通は9月24日、夏威夷と北京で同時開催した「スナップドラゴンサミット2025」で、PC向け「スナップドラゴン X2 Elite Extreme」と「スナップドラゴン X2 Elite」、スマートフォン向け「第五世代スナップドラゴン 8 エリート」の3製品を発表。これらは、高通が端末側AI(エッジAI)生態系を牽引する戦略の一環として、性能と効率の両面で画期的な進化を遂げた。 PC用のX2 Eliteシリーズは、3nmプロセスで製造された自社開発の第三代Oryon CPUを搭載。X2 Elite Extremeは最大18コアを実装し、性能コアの最高動作周波数は5GHzに達する。これはArm互換CPUとして初の快挙であり、競合製品と比べて同じ消費電力で単コア性能は最大44%、マルチコアは最大75%優位。GPUは新アーキテクチャにより、1ワットあたりの性能が2.3倍向上。また、18MBの専用キャッシュと虚偽エンジン5のハードウェアアクセラレーションを搭載し、ゲームやクリエイティブ作業の体験を強化。AI処理能力は、新たに採用されたHexagon NPUで80 TOPSを実現。 一方、第五世代スナップドラゴン 8 エリートは、3nmプロセスとOryon CPUを活用し、CPU性能は前世代比20%、GPUは23%、NPUは37%向上。CPUの消費電力は35%削減、GPUは20%低減。特に注目は、AIエージェント(Agentic AI)を実現するための「リアルタイムの多モーダル感知」機能。ユーザーの視聴・聴取・思考を理解し、状況に応じたプロアクティブな支援を可能にし、データを端末内に留める設計によりプライバシー保護を強化。また、サムスンと共同開発した「APV(高品質専用ビデオコーデック)」をハードウェアレベルでサポートし、プロフェッショナルな動画制作を支援。 高通は、これらの製品を通じて「エッジAI」の時代を主導する構想を提示。市場調査機関Precedence Researchによれば、エッジAIチップ市場は2025年から2034年にかけて年率17.75%で成長すると予測される。高通CEOのアンモン氏は、AIが新しいユーザーインターフェースとなり、ユーザー中心の「エコシステム・オブ・ユー」が実現すると強調。 中国では「AI加速計画」を発表し、国内企業と連携して端末AIの実用化を推進。高通の戦略は、単なるチップ供給を超えて、AI時代のインフラを構築する「エコシステムの提供者」へと進化している。