アクセンチュア、AI人材育成に応じられない社員の早期退職を表明へ
5日前
コンサルティング大手アセンチュアは、人工知能(AI)への対応が困難な従業員の「退職」を進める人事再編戦略を発表した。同社のジュリー・スイートCEOは10月10日、業界向けの電話会議で「AIはすべての業務に組み込まれる」と強調し、全社的なAI強化に向け、従業員の再スキルアップを「主要戦略」と位置づけた。 スイートCEOは、AIスキル習得が「現実的な道筋」でない場合、短期間で人材を「縮小・退出」させる必要があると説明。同社はすでに55万人の従業員を生成AIの基礎知識に再教育済みで、今後6カ月間で8億6500万ドル(約1300億円)を投じるビジネス最適化プログラムを実施。このプログラムには、退職手当や人員削減のコストが含まれ、同社はその結果、10億ドル以上のコスト削減を見込んでおり、その分を再投資することで、今後の成長と人材育成に回す計画だ。 一方で、アセンチュアは人員削減と並行してAI・データ分野の採用を拡大。2025年時点でAI・データ専門職は7万7000人に達し、2023年の4万人から大幅に増加。スイートCEOは、今後1年間で米国や欧州市場で人材数をさらに増やす意向を示した。 同社の2024年度売上高は697億ドル(前年比7%増)で、成長の背景には企業からのAI導入ニーズの高まりがあると指摘。スイートCEOはCNBCのインタビューで、「AIの導入を急ぐ企業が増えており、その需要が収益成長の原動力だ」と語った。 アセンチュアの戦略は、AI時代に適応するための「人材の再編」を急ぐ一方で、AI専門人材の育成と採用を強化するという、両極端な動きを同時に進める構図となっている。